中国景況感9月悪化、貿易戦争響き2年ぶり低水準、輸出、受注落ち込む。

【北京=原田逸策】米国との貿易戦争が中国の景気に波及し始めた。中国国家統計局が30日発表した2018年9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50・8と、前月比0・5ポイント低下した。市場予想(51・2)を下回り、春節(旧正月)に伴う特殊要因を除くと16年9月以来2年ぶりの低水準となった。米国が7月以降に発動した追加関税で輸出企業の新規受注が落ち込み、生産を下押しする構図が鮮明になった。
PMIは製造業3千社のアンケート調査から算出し、生産や新規受注が50を上回れば拡大、下回れば縮小を示す。
特に悪化が目立つのが輸出入関連の項目だ。輸出の新規受注は48・0と前月比1・4ポイントも低下し、中国市場が人民元急落で揺れた16年2月以来の水準に沈んだ。節目の50を下回るのは4カ月連続。国務院発展研究センターの張立群研究員は「今後の輸出の落ち込みを示している」と指摘する。
統計局によると、業種別ではアルミニウムなど非鉄金属、工作機械、家具などの景況感が節目の50を下回ったという。米国が7~9月に発動した2500億ドル(約28兆円)相当の中国製品を対象にした追加関税に関連する業種が多い。
一方、中国メディアの財新と英金融情報会社マークイットが同日公表した製造業PMIは50・0と前月比0・6ポイント低下し、17年5月以来の低水準となった。政府版PMIは主に大型国有企業が調査の対象だが、民間版の対象は民間の輸出企業も多く、貿易戦争の影響がより鮮明に出ている。
雇用に悪化の兆しが見え始めたのも、当局に気がかりな材料だ。政府版PMIで雇用指数は前月比1・1ポイント低い48・3に悪化した。春節以外では16年7月以来の低水準だ。債務削減による資金調達難や環境規制で経営体力が落ちていたところに、輸出不振が最後の引き金となって倒産する民間企業が増えている。
「規制緩和、減税、手数料下げを今後さらに進める」。李克強(リー・クォーチャン)首相は9月28日、浙江省で民間企業の経営者らに約束した。具体的には増値税(付加価値税)の税率の簡素化と引き下げ、電気料金や輸送費の圧縮を検討するとした。中国政府は10月1日から個人所得税を年3200億元(約5兆円)減税するが、雇用を守るために企業向け減税策を追加する方針とみられる。
国務院発展研究センターの隆国強副主任は9月30日、一部メディアと会見し「肝心なのは貿易戦争にうまく対応すること。中国政府は企業が難関を乗り越えられるよう、すでに多くの措置を取っている」と語った。
これまでの景気対策は減税を軸にした財政政策が中心だ。政策金利の引き下げなど金融政策による対策について、隆氏は「米中貿易摩擦はまだ中国のマクロ経済に大規模な影響を与えていない。金融政策はこれまでの基調を維持するのではないか」との見方を示した。

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