株高、勝ち組銘柄は減少――金融・資源…出遅れ業種物色(スクランブル)

 1日は日経平均株価が続伸し、約27年ぶりの高値を付けた。ただ、市場参加者の高揚感は乏しい。特にアクティブ運用の投資家からは「勝ちにくい相場」との声が聞こえる。市場全体を上回るリターン(運用での超過収益)を得られる「勝ち組」銘柄探しが難しくなっているためだ。貿易戦争の影響を受けにくく、成長期待との見合いでまだ割安な銘柄はどれか。次の銘柄探しに試行錯誤している。
「相場上昇の実感はない」。日経平均が力強く上昇するのを横目に、ある日本株ファンドマネジャーの表情はさえない。業績が持続的に拡大する成長企業に投資するが「持っている銘柄が上がらない」という。
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市場全体を上回る株高を示す“勝ち組銘柄”の減少を示すデータがある。東証1部企業の昨年末比の騰落率と、東証株価指数(TOPIX)の比較だ。6月まで市場平均を上回る銘柄の比率が5割弱で推移していたが、直近では4割を下回る。きっかけは4~6月期決算。市場の高い期待に届かなかった銘柄が売られたことが背景にある。
「成長期待が強い勝ち組銘柄の二極化が進んでいる」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真氏は指摘する。貿易戦争や新興国不安など不透明感が残る中で安心して買える一握りの銘柄に人気が集中してきた。だが割高感が強まる中で変化が起きている。
夏場以降、それまで上昇していたZOZO(旧スタートトゥデイ)や太陽誘電が下落に転じた。ZOZOは業績の伸び悩み、太陽誘電はスマートフォン需要の鈍化懸念が嫌気された。
まだ上昇基調の勝ち組銘柄は、大型株ではリクルートホールディングスやエーザイなど一握り。それすらも「いつ調整してもおかしくない」(外資系運用会社)との声がある。1日の市場でも丸井グループなど勝ち組銘柄の一角が下げた。
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投資家の関心は今後のけん引役に向かう。厳しい選別に堪えた勝ち組銘柄がさらに相場を引っ張ることも考えられる。ただ、一部の銘柄だけが上がり続ける展開への警戒は強い。上昇相場に乗れなかった投資家の心理を冷やし、買いの勢いが鈍りかねない。
ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄氏は「出遅れ銘柄への物色の広がりが一段高の条件だ」という。だとすれば今後どんな銘柄が買われるのか。
出遅れた銘柄には、環境変化が追い風になり得るものがある。1つは金利の先高観。BNPパリバ香港の岡沢恭弥氏は「安倍晋三首相の続投が決まり、今後は日銀の金融政策が出口を模索するとの見方が海外勢にある」と話す。抑えられていた国内金利が上昇すれば金融株が買い対象になる。
もう1つは原油価格だ。イラン産原油の供給減観測で価格が上昇。産油国の開発投資の拡大を期待した買いが荏原や日揮などに入り始めている。
物色の反転の時期は7~9月期決算発表が本格化する今月下旬とみられている。新たな投資テーマや銘柄が浮上する可能性も捨てきれない。バブル崩壊後の高値をさらに駆け上がるか、相場の強さが試されるのはこれからだ。(菊地毅)

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