米IT大手の甘いデータ管理露呈、グーグル、50万人分流出の恐れ、揺らぐ信頼、規制強化も。

膨大な個人データを扱う「ネットの巨人」の管理能力が問われている。米グーグルは8日、最大50万人分の情報が流出した恐れがあると発表。数年にわたり情報が野ざらしになった可能性があるが、約半年公表しなかった。先月末には米フェイスブックで5千万人の情報流出リスクが浮上したばかり。大量のデータで稼ぎながら管理の不備が頻発する米ネット大手にに対し、規制強化の動きが広がる。
半年前には認識
グーグルの交流サイト(SNS)サービス「グーグル+(プラス)」でソフトウエアの不具合があった。外部のアプリ開発会社などが、ユーザーが公開していない名前や職業などの個人情報を閲覧できる状態にあったという。グーグルは同サービスを今後10カ月かけて終了する。
同社は「情報が悪用された形跡はない」としているが、2015年から18年3月まで不具合が放置されていた。
今春に問題を認識したが、米ウォール・ストリート・ジャーナルは「企業の評判への影響と当局の調査を恐れて」非公表にしたと報じた。最大8700万人分の情報が流出したフェイスブックの問題を巡り、米議会公聴会が開かれた時期と重なり、米国ではグーグルが意図的に隠蔽したとの批判が強まっている。
社会責任大きく
グーグルは検索やメール、地図など10億人超のユーザーを持つサービスを7つ抱える。フェイスブックも20億人以上が使うなど、米ネット大手のサービスは人々の生活に欠かせない社会インフラとなりつつある。
スマートフォンや電子決済の普及など経済のデジタル化が進む中、膨大なデータは消費者の好みや信用力を解析するツールとして重要性を増す。グーグルなどは魅力的なサービスを武器にデータを巡る覇権争いで優位に立つが、その分、大量のプライバシー情報を取り扱う責任を負う。
近年、米ネット大手がそうした責任を果たせるのか、疑問視せざるを得ない情報管理体制が相次ぎ露見している。
フェイスブックは9月にも5千万人分のアカウントが影響を受けるハッキングが表面化。さらにネット上のウェブサイトに電話番号やメッセージのやりとりなど最大25万人分の個人情報が流出したことも9日までに明らかになった。日本人利用者の情報も含まれていたという。
個人情報の流出は、プライバシーの侵害や犯罪への悪用に加え、最近では世論操作などにも使われている。情報が流出するリスクの範囲と深刻度は日々増している。
そうしたなか、各国は個人情報の保護を巡り規制強化に動いている。欧州連合(EU)は5月、「一般データ保護規則(GDPR)」を施行。情報流出が発覚した際、72時間以内に監督当局に通知することを義務づけるなど企業に厳しい対応を求めている。
フェイスブックなど米ネット大手の規模拡大をけん制する狙いがあるとされる。
今回のグーグルの問題はGDPR施行前で適用外とみられる。だが個人情報保護に詳しい松田章良弁護士は「世界各国でGDPRに似た厳しい個人情報保護ルールの導入が進んでいる」と話す。米ネット大手で相次ぐデータ流出問題はこうした流れを強める見通しだ。
(データエコノミー取材班=植松正史、シリコンバレー=佐藤浩実)

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